思い立ったら即行動。
株式会社宙オリエンタル 代表取締役 梶原裕美
第3回目となる今回は、黒い服専門店RONDELBLACK & TaichenRutileを始めとするレディースファッションサイトを手がける梶原社長の人となりに迫りました。
なぜ「黒い服」に着眼したのか、このオシャレなカフェは一体･･･？
生き方全てに「こだわり」と「行動力」が感じられる梶原社長が影響を受けたと言う映画、”アビエイター”。そして2人の人物の大きな存在とは。
思い立ったが吉日
──会社立ち上げに至るまでを教えてください。
会社を始めた頃はアパレルを扱っていたわけではなくて。
もともとはソフトウェア会社に勤めていました。
社内はそれも認めてくれている有難い環境ではありましたが、社員の多い会社ではなかったので、自分自身が申し訳なくて(笑)
その中で、「金運のブレスレット」なるもの発見し、これは落札してみようと(笑)
その当時１円オークション全盛期で、全て１円から入札開始という商品が沢山出品されていました。しかし、金運の石「ルチルクォーツ」だけは、4,000～6,000円にもなります。
▲ルチルクォーツ
これは行ける！と。丁度その時、以前購入したマンションの頭金の相殺で60万程戻ってきました。これを元手に仕入れようと。ブレスレットが届いて、楽天市場に出店したい旨を連絡すると、「兼業はダメです」と。
なので、約8年勤めていた会社の社長に「楽天出店したいから辞めます」
「お前は決めたら変えないんだろ」と言われ了承してもらい、オークションでの出会いから1か月経たずに5月10日に開業届を出しました。 ──出店までとてもスピーディーだったのですね！
出さないと出店申込出来なかったので(笑)
開業届は出しつつ、会社の引継ぎは辞めた後にしてました。それと同時に、今は無くなったアリババジャパンで、中国在中で日本語の分かる、個人事業を
されている方を探しました。商社は騙されるか、価格をぼられると思って(笑)
その中で、その後ずっと取引が続く中国人の方とご縁が繋がりました。戻ってきたマンションの頭金は楽天出店費と仕入に。
4.5畳の部屋を事務所兼出荷の作業場に、とはいかず出荷って場所取るし、リビングの机を出荷の時だけ端に避けて作業そしていました。
ブレスレットは問題無いですが、原石や水晶さざれ(割って磨いたもの)はもう土でドロドロで！
ザルに入れて洗って、ベランダで天日干しして･･･(笑)
10月には知り合いだけでは足りず、その知り合いにも一緒に手伝ってもらいました。
一人で出来る事なんてたかが、しれていて･･･
そこから、1年か2年で場所が足りなくなったりして、事務所の移転を繰り返しました。
その頃、楽天市場で石の価格破壊が起きて、パワーストーンからアパレルに商材をシフトしました。
──アパレルに商材をシフトされた理由は？
仕入れるにしても石の目利きってなかなか難しくって。お洋服であれば専門知識がないスタッフでも仕入れが出来るかなと思ったことも理由の一つです。敢えて人数も場所も減らして小さなアパートに戻った時に、2014年7月に法人化しました。
もう移転しないぞって気持ちも込めて、去年2017年8月に登記住所をやっと起業した自宅マンションから、事務所住所に変更しました。
──なぜ「黒い服」にフューチャーされたのですか？
その当時、今もそうかもしれないけれど楽天市場では品揃えに関してカラーバリエーションを揃えるように！という風潮がありました。
でもいくらカラバリを揃えても売れていくのは黒、白といった色。
だとしたら最初から売れる色だけで展開したらいいのでは･･･と思ったのがきっかけでした。
ただ、商品が全て黒系と言うことで、在庫の棚から目的の商品を探し出すのには苦労しました（笑)
やはり黒というとクールであったりかっこいいイメージのお洋服が多くなります。今では意図したわけではないのですけど、ダンス用の衣装としてもご好評頂いているんですよ。
自立心と探求心
──そんな梶原社長の今、一番の原動力は？
あまり人前に出るのは得意ではないのですが、養うと言うか、背負うのは好きなようです（笑）
そういった意味でスタッフは、正社員、パートとか関係なく守るべきものとして存在しています。
一番長い人は創業当時から、もともと保育園時代のママ友だったスタッフもいます。みんな家庭のストレスを職場で発散しているような･･･明るい職場です（笑）
スタッフ全員女性ということもあり、子育てがしやすい環境づくりは自然に出来上がっています。もし誰かの子供が熱を出したりしたらすぐ帰れるように、スタッフ皆が誰の代わりでも出来るように業務内容を共有していたり･･･
皆本当に一人一人自立していて、いつもいかに作業の効率化ができるか、どうしたらより仕事をしやすい環境になるか常に考えて行動してくれます。
スタッフが10名を超えた今、原動力はやはり一緒に働くスタッフですね。
──ここで人生に影響を与えられたものを教えてください。
実在の大富豪・実業家であるハワード・ヒューズの波乱の半生を描いた映画である”アビエイター”です。
▲監督: マーティン・スコセッシ 販売元: 松竹 参考価格 3,564円
飛行機の機体製作シーンがあるのですが、その際に「リベットを全部無くせ、平たんにしろと、流線形に拘るハワードが映し出されていました。
もう納得というか、その考え方にはホント共感します。現実はそこまで拘るのは難しいですけど(笑)
──梶原社長の探求心の深さと重なる所がありますね！
私もやっぱりこだわりだしたら止まらなくて･･･
このカフェもインテリアを探したり、内装を決めるのにああでもないこうでもないと頭を抱えました（笑）
▲こちらのカフェは螺旋を意味する「Helix（エリックス）」と言う名前。店名を象徴するような螺旋階段や、店名のロゴ、テーブル、ソファに至るまでこだわりを持って梶原社長が選定。カフェとしてだけでなく撮影用の貸しスタジオとしても稼動予定。
▲カフェの奥にあるインスタ映え間違いなしのこの壁。実はここに書かれている数字にもちゃんと意味が･･･
──こだわりが詰まっているからこそこんなにオシャレなのですね。
この壁も使われるフォントや字のバランス、一つ一つ考えての配置なんですよ。
この壁、まだうちのスタッフにも秘密にしていることがあって･･･
実はこの数字、私と創業時からいるスタッフの誕生日と、この事業を起こした日、法人化した日が書かれているの。内緒ってわけではないのだけど、今初めて言いました（笑）
──会社のいたる所に梶原社長のこだわりを感じます･･･
私の人生を形成する上でなくてはならない人物が2人います。
それは父と幼馴染。
父は亭主関白で、父の言うことは絶対！というような家庭でした。
だからって厳しいことばかりではなくて、可愛らしい一面もある愛すべき存在でした。
そんな父は着物関係の仕事をしていたのですが、仕事の面ではあと一歩が踏み出せない部分があったように思います。家族5人を養っていて、そこに責任を感じての事もあったと思いますが。
その父の背中を見て育って、私の中で絶対父は越えていきたい存在だという思いが強くなりました。
あともう一人、影響を受けたのは高校生の時に亡くなった幼馴染。
まだ私自身将来の夢が定まっていない中、既に彼女は看護師になりたいという夢を持っていました。
将来設計をしっかり持っていたにも関わらず、何の目標も定まっていなかった自分より先に亡くなってしまったという事実に釈然としない思いと、彼女の分までしっかり生きていかなくてはという思いを抱きました。
今の私や、何事もこだわりを持って取り組む、思い立ったらまずやってみるという私の価値観を形成しているのは、この二人の影響を受けたからだと思います。
こだわりの先にあるものは
──最後に次に向けて、ビジョンをお教えください。
大人のキャリア女性向け、ポイント制月額ファッションレンタルBrista(ブリスタ)です。自分が経営者の会等に行く服を買っていたらお金も掛かるし、同じ会に参加するので、同じ服ばかりとも思われたくないって事が始めるキッカケになりました。
他企業の同サービスではなかなか用途やTPOに合うものがない、例えば私達世代に合うデザインが少なかったりとか･･･なかなかピッタリくるものがなくて。
だったら私が始めてしまおうと（笑）
月額(1～3万円)でポイントを購入し、ワンピースやジャケット等の定価に合わせたポイントで
1カ月レンタルいただけます。今月はもっと借りたいという時は、追いポイントも購入出来ます(笑)
Bristaは今後働いている大人キャリア女性のビジネスの衣装の悩みだけでなく、体調の変化が出る年代であるからこそ、生活、美容、健康、全ての面で寄り添えるカタチでありたい。
Brista世代(35-55歳位の大人キャリア女性)の事なら全て解決できる位のコンテンも作れたらと･･･
その最初のキッカケがレンタルであればと思っています。
▲数々のレンタルワンピースたち。自分でなかなか選ばない色柄が人気なのだとか･･･
──梶原社長ありがとうございました！
譲れないこだわりと、飽くなき探求心･･･
その心を常に持ち続ける梶原社長の更なるご活躍に期待いたします！ありがとうございました！
次回も乞うご期待！
株式会社宙オリエンタル 代表取締役 梶原裕美
１回のオークション落札(2007.4)がキッカケで退職。翌月(2007.5)に宙オリエンタルを開業。パワーストーンの販売を経て、現在は黒い服専門店RONDELBLACK & TaichenRutile、ポイント制月額ファッションレンタBRISTA(ブリスタ)を展開し多方面から指示を受けている。
