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本日ご紹介するのはピアニストの江口恭子さん。
現在、京都・バッハ・ゾリステンメンバー、陽声たまゆら会、コーラスアンサンブル夢、京都フィグラールコールなど合唱団専属ピアニストとして活動しています。
ピアノを生業とするに至るには並々ならぬ努力があったことと思います。
ピアニストであると同時に、妻として、母として、娘としての生活を送る江口さんの半生について、お話をお聞きしました。
江口恭子さんの経歴
京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専修卒業。
第9回飯塚新人音楽コンクールピアノ部門第2位、第8回吹田音楽コンクールピアノデュオ部門第2位受賞。
第1回かやぶき音楽堂ピアノデュオ連弾コンクール優勝。
第4回‘万里の長城杯’国際音楽コンクールアンサンブル部門優秀賞受賞。
ミュンヘン国立音楽大学夏期特別講座に参加。
これまでに大阪シンフォニカー、千里市民管弦楽団、京都・バッハ・ゾリステンとピアノ協奏曲を共演、4回のピアノデュオリサイタルを開催。
また、京都・バッハ・ゾリステンのバッハ作品の公演にもソロ、通奏低音奏者として数多く参加しています。
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人生に影響を与えたもの
--サワアラモードのブラウスがとてもよく似合っていて素敵ですね。
凛とした佇まいが美しい江口さんが、ピアニストとして生きるきっかけや人生に影響を与えたものとは何だったのでしょう?
はい、私の人生に影響を与えたものは、やはり「ピアノ」です。
母がピアノの教師をしていたので、生まれたときからピアノのある空間で育ちました。
4歳になって母の手ほどきでピアノを習い始めてから今まで、ピアノとともに過ごしてきました。
--ピアノを習う人は沢山いますが、そんな中からピアニストになれる人はほんの一握り。
多くは途中で辞めてしまったり、趣味の範ちゅうを出なかったり…(かくいう私も挫折組の一人です。笑)ですが、根気良く続けられた理由は何ですか?
子どもの頃の私が毎日機嫌よくピアノの練習をやっていたかというと、多くの子どもがそうであるように、日によっては嫌になる時もあったり、飽きることもありました。
しかし、母は大学に入るまでピアノの練習は私の日課とし、時には逃げようとする私を辛抱強く練習に向かわせました。
一度に沢山の音を鳴らす事が出来るピアノはオーケストラのようですが、そのように操れるようになるには大変な努力と時間がかかります。
プラモデルを組み立てるかのようなこの地道な作業は,私にとってはとても興味深く、今でも試行錯誤をしながらピアノに向かっています。
毎日コツコツと努力することの大切さ,その先に味わえる大きな達成感をピアノのお稽古を通して教え育ててくれた母にはとても感謝しています。
--子どもにひとつの事を根気強く教え育てる事の難しさは、子どもを持つ私も身をもって感じます。それを貫いたお母様の教育も素晴らしいですし、大人になって、その事に感謝出来る事も素敵なことですね。
ピアニストにはなるべくしてなったという感じに思えますが、今はソロではなく、デュオや伴奏のお仕事を中心にされているんですね。
人生の転機
高校を卒業後、芸大のピアノ科に入学し、音楽を志す仲間とともに学ぶ中で,他の人と一緒に演奏する楽しみも見つけました。
歌、ヴァイオリン、フルートなどと共演する機会にも恵まれ、どんどん世界が広がって行くのを感じていました。
そんな時,知人の紹介で地元のアマチュア合唱団の伴奏をお仕事として始める事になったのです。
合唱ピアニストは、コーラスを指導される指揮者の元で音取り練習から本番のステージ演奏までこなさなければならない重要なポジション!
全く初心者だった私を指揮者や合唱団の方々は優しく迎えて下さいました。
その合唱団で、年齢や職業を越えたところで心を一つにして声を合わせる合唱の素晴らしさ、そこにピアノで一緒に参加できる喜びを体感することができました。
ここから私の合唱ピアニストとしての活動がスタートし、現在も様々な合唱団と共演させていただいています。まさに合唱団との出会いは私の人生にとって大きな転機と言えるでしょう。
--なるほど。ピアニストとひと口に言っても、様々なお仕事があるんですね。合唱に合わせて演奏をするのは、ひとりで自由に弾くよりも難しそう。
けれど、だからこその面白さ、楽しさもあるのでしょう。合唱団にとっても無くてはならない存在なんですね。
そんな現在の活動にいたるまでの経緯とその中で苦労した事、良かった事をもう少しお聞かせ下さい。
現在の活動にいたる経緯、その中で苦労したこと
大学を卒業して今までの間には、数えきれないほどの人との出会いがあり、すべてそこから活動の場が広がっています。
私は元々人前に出るのが得意ではないし、自分から何かを仕掛けるタイプではないので、今こうして活動を続けられているのはだれかのおかげなのです。
友人から声がかかり、始めたピアノデュオの活動もその一つです。
また、バッハ作品を歌う合唱団との出会いにより共演するオーケストラのメンバーとしてオルガンやチェンバロを弾かせていただくようにもなりました。
▼チェンバロ(別名ハプシコード)
けれども、活動の場が広がり充実する反面、自分の練習や家事の時間の確保が難しくなっていきます。
結婚をして子どもが生まれてからは、さらに日々の時間のやりくりに必死でした。
そんな私をサポートしてくれた夫や親には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
今は3月の演奏会に向けて練習をしています。
▼江口さんの演奏会情報
--音楽活動でも、ご家庭でも、誰かとの関わりやサポートに支えられていることが、最終的に素晴らしい演奏に繋がっていくのですね。だからこそ合唱やオーケストラはひとりでは生み出せない感動を覚えるのかもしれません。
家事と仕事との両立は計り知れないご苦労もおありかと思います。江口さんにとって、そんな苦労を乗り越える、原動力とは何ですか?
今、一番の原動力
一番の原動力というと、月並みですが子どもの成長でしょうか。
我が子が将来に向かって自分で歩み始める姿をみて、私も更に前進していこうという勇気をもらっています。
親として人生の先輩としていい背中を見せたいなあと思います。
--さっきまでのピアニストとしての顔とはまた違った、母親としての優しさと責任感を感じる笑顔を見せてくださる江口さん、ありがとうございました。
最後に今後に向けて一言お願いします!
今後にむけて
活動を長く続けていくためにまずは健康第一!
何か運動をと思い5年前から始めたピラティスを継続し、自分の身体と向き合いながら健康管理を目指します。
これからも元気でみなさまに良い音楽をお届けしたいです。
江口恭子
ピアニスト
近鉄文化サロン講師